小学1年生のクリスマスの日、隣りに住んでいた、まだ20代だった叔母が
「すみれちゃん、これとってもおもしろいお話しだから読んでね」とある本をプレゼントしてくれました。
それはアメリカの少し昔の物語で、そのあたりは叔母が説明してくれたものと一致しないでもなかったのだけれど、、、、。
とても悲しくやりきれなく、子どもごころにいろいろなことを考えさせる物語で、クリスマスの夜、私は悲しい気持ちで眠りについたのだった。
なんかちがうぞ、、、。爽快な冒険物語ではなかったぞ、、、と思いながら、、、、。
(読むのははやく、かたっぱしから読むたちだったので)
もう少し大きくなってから気づいたのだが、叔母は私に
「トム・ソーヤーの冒険」を買ってくれたつもりだっただろう、ということ。
そして当時小学1年のクリスマスに私が読んだのは
「トムじいやの小屋」
という本だったのです。
「アンクルトムの小屋」という本のタイトルが一般的だと思いますが、わたしがもらったのは
「トムじいやの小屋」でした。
「トムじいやの小屋」は奴隷のトムは良い主人に恵まれ幸せに暮らしていたが、主人の仕事が傾いて、そのためトムが売られることになっってしまいました。
売られたトムは船に乗せられたが、一人の少女が海に落ち、勇敢なトムが海に飛び込んでたすけました。
助けた少女エバは、お金持ちの令嬢で、トムはエバの父親に気に入られ奴隷として仕えることになった。そこでの生活は、奴隷としては恵まれたものだったように記憶しています。
その後エバの家族とトムは、、、、。
元の主人はトムを買い戻すと約束してくれていたが、、、、、。
トムじいやの小屋 ストー夫人 斎藤了一 編著
梁川 剛一 絵 ポプラ社
叔母が私に読ませたかったであろう、「トム・ソーヤーの冒険」を実際に私が読むのは5年生か6、年生になってからのことです。
そう、そのとき私は「おばちゃんのいってたトムの物語はこれだったんだ」と悟ったのです。
今でも小学1年の私に
「すみれちゃん、おもしろかったでしょう?」
と目をキラキラさせてきいてきた叔母の顔を思い出します。
その時
「うう、、、ん」
と、なんといっていいのか、あの心優しく勇敢なトムの辿った運命の理不尽さに涙した「悲しい気持ち」と叔母の「おもしろい」が一致せずに困ってしまった7歳のあの頃を。
トム・ソーヤーの冒険 マーク・トウェイン / 少年少女世界の文学 小学館
(小学館様から許可いただいております)
トム・ソーヤーの冒険は、小学館の少年少女世界の文学で読んだのでした。
その全集は、友達のうちなどはガラスケースの本棚にずら~っと全巻揃っていました。我が家は数冊しかありませんでしたが、どれも読みごたえがあり、挿絵もすばらしかったです。
1つの巻に長編がぎっしりとつまっているので、むさぼるように読むということを覚えたのは、小学3年生頃、この少年少女世界の文学に出会ってからでした。
本を開くと別の世界に行けるということを、教えてくれた素晴らしい全集です。