土の子育て
相川明子 青空なかよし会 コモンズ
(表紙画像掲載の許可は著者相川明子さまからいただいております)
長女が生まれて、公園デビューを考える頃、私はこの本を読んでいました。「青空保育なかよし会」は鎌倉にある親が共同で自主保育をし、自然の中で土に触れあい、季節を感じながら、豊かな環境で育てていく会です。
こどもにもおとなにもこんな世界は必要だ、と感じました。
私は、田舎育ちですが、家が街の中心部にあったため、路地裏や空き地で遊ぶことが多かったです。そのうえ親が過保護だっので、野山を駆け回るような体験はほとんどありません。
母は特に「けがをさせてはいけない」ということにエネルギーを注いでいました。大人になってから、どうしてあんなに過保護だったのかと母に尋ねたことがあります。
母はお嬢様育ちで、家事が得意でなかったのですが、父は
「こどもが怪我をしないようにみていてくれ。それだけしてくれたらあとはいいから」
といったそうです。
母は父からの唯一のミッションを懸命に遂行したのでしょう。
姉は、好奇心旺盛でちょろちょろ動き回って母を困らせていましたが、私は妙に聞き分けが良く、「ここにいなさい」といわれればずっとそうしている子どもでした。母に気に入られたかったのか、元来臆病だったのか、、、。木登り程度はしましたが、母が心配するようなことはしませんでした。
けれど日頃はおさえていた好奇心・冒険心が決壊して、とんでもない事件をおこしたことがあります。それこそ命にかかわるようなことでした。これについては機会があればいつか書きたいと思います。
父は
「命にかかわるようなけがをしないように気をつけてみておくれ」
といえばよかったのです。
母は元々活発で山歩きが好きな人でしたから、父のミッションがなければ、私たち子どもを野山で駆け回らせて育てたかもしれないなー、と今になって思います。
山菜取りやクルミ拾い、銀杏拾いにはよく連れていったもらいました。
あの頃の母は、今の私よりだいぶ若く、新米のお母さんだったのです。
おそらく母も手探りで必死に育てていたのでしょう。
失われた子供時代への後悔がこの本に惹きつけられるのでしょうか。
子どもをのびのび育てたい、けれど、その術を知らない私は、「青空なかよし会」がお手本のように思えました。
残念ながら、私の住んでいるところにはそのような自主保育や育児サークルは見つかりませんでした。
著者の相川さんのように
仲間を募集する紙を家の前に張ろうか、と考えたことも何度もあったくらいです。
しかし、理想はあるけれど、自分の中には経験も知識もない、そんな私に自主保育を立ち上げることができるだろうか、、、、勇気がなく、実現には至りませんでした。
はりきって出かけた公園では、セレブ風ボスママとそのとりまきの一体感におそれをなしてしまい、脚が遠のきました。
幸い、長女と年の近い年子の姉弟が近所に越して来て遊ぶようになったり、家の前を通りかかった子たちと仲良くなったり、自然に仲間がふえていきのんびりゆったりの楽しい交流が出来ました。
子育て中のおかあさんはもちろんですが、保育や教育に携わる方にも、ぜひ読んでほしい本です。
この本は、今は出版されておらず、中古でのみ流通しているということです。
その代わり、
続編の
「土のにおいの子」 相川明子 コモンズ
「谷戸であそぼ 春」相川明子 冨山房インターナショナル
「谷戸であそぼ 夏」相川明子 冨山房インターナショナル
が出版されているということを、伺いました。