私の子育て中のバイブルといえば、児童精神科医の佐々木正美先生の「子どもへのまなざし」です。
何度この本に励まされたことでしょう。
内容は厳しいことも書いてあるのですが、とてもやさしく愛情あふれる文章で、「だいじょうぶだよ。それでいいんだよ。子どもをだいいちにかんがえてごらん」と言われているような気がしました。
こどもを育てるための本というよりは、親を育てる本だと思います。
親が陥りやすい勘違いや思い込みを、正しい方向に導いてくれる指南書です。
親がするべきこと、しないほうがよいこと、などがわかりやすく書いてあります。
たくさんの育児書を読んだわけではないので、はっきりとは言えないのですが、「正統派」の育児書ではないように思います。
要求が満たされたとき、子どもは人を信じることができる
という言葉は印象に残りました。
ついこどもは甘やかしてはいけない、とか自分でやらせなくてはいけない、と思うことが多かったのですが、
子どもの要求や希望が豊かに叶えられるということが、どてもだいじになってまいります。
自分でできないことを訴えた時に、満たされるという体験は信頼感が育つのだそうです。
特に幼ければれば幼いほど大事だと書いてあります。
甘やかすことと、満たしてあげることの線引きは難しいですが、厳しく育てなくては、とか
自分でさせなくてはいけない、という考えはもともと自分の中にある思想ですはなく、どこからか植え付けられたもののような気がします。
子どもが泣いてだっこをせがむ、母乳を求める、その要求に答えることに躊躇するは必要なないのです。もし、親がそうしたいのであれば。
あかちゃんが生まれた時に、あかちゃんはよく泣くものですが、すぐに抱こうとすると、姑が「抱き癖が付くからほっといたほうがいい」とよく言われました。
なぜほっといたほうがいいのか、私にはさっぱりわかりませんでした。
ただ、ほうっておいたほうが「ベテランお母さん」ぽくて、赤ちゃんがないてすっ飛んでいくのは「新米お母さんで、だめなお母さん」のように聞こえました。
赤ちゃんは抱いてほしいと泣いているわけですし、すぐに抱いてやって何が悪いんだろう、というモヤモヤした気持ちに佐々木正美先生の「こどもへのまなざし」は「抱いていいんだよ」と答えてくれたように思いました。
知人から聞いた話です。知人の友人は学校の教員をしていたそうですが、夜、別室にいる赤ちゃんが泣いてもそばに行かないことにしていたそうです。
赤ちゃんはしばらく泣いたら、誰もこないとわかったらあきらめて泣かなくなるんだそうです。だから行く必要ないと。そのうち泣かない子になるということでした。
この話は「夜泣き対策」の成功談として語られていました。
でも、それをきいて私は余計なお世話ですが、またもや「モヤモヤ」しました。
確かに成功したのかもしれません。
その話をきいて、「そうしよう」と思った人もいたかもしれません。
確かに、こどもが小さい時、添い寝にかける時間とエネルギーは大変なものです。
私も、これが(夜泣き・添い寝)なければ、家の中もピカピカに片付いて、明日の朝の下ごしらえもできる、ドラマも1本くらいはみたいな、なんていろんなことができそうでした。
とにかく、私はそのままこどもと寝落ちしてしまう人でしたから、、、、、。
夫があまりうるさくない人だったので(内心はどうかわかりませんが)、家事がやりかけのままで、ちらかったままでも、文句は言わずで、ありがたいことに私は、こどものそばに駆けつけて、眠りにつくことができました。
こどもを寝かせる時、大活躍したのは、子守り歌と絵本でした。
赤ちゃん期は、歌をうたうことが多かったです。
布団の上からポンポンと軽くたたきながら、歌いました。
私はとても「音痴」なのですが、他人が聴いているわけではないので、遠慮なく歌いました。子どもが音痴になったらどうしよう、とふと心配に思うこともありましたが、長女も長男も音痴ではなく結構歌が上手なので、音痴な母親が子守り歌を歌っても大丈夫なようですよ!
子どもへのまなざし 佐々木正美 福音館書店
山脇百合子(絵)