「お茶」がおしえてくれた15のしあわあせ
森下典子 新潮文庫
先日、新春お茶会に参加し、素人なのに次客(正客の隣の席)に押し込まれ、モヤモヤした気持ちがおさまらないのでありました。
そんな時、手に取ったのが「日日是好日」(森下典子・新潮文庫)でありました。
最近話題になった映画のタイトルということで耳にしていたことはありました。いったいどんな映画なのかもわからなかったのですが、お茶会の後、茶道の情報をネットで検索していてひっかかりました。女優の樹木希林さんが出演されていたということで話題になっていたようでしたが、お茶の先生の役だったのですね、というのもこの時知りました。
なにかこのモヤモヤを晴らすヒントでもあるかと思い、映画を見に行こうと思いましたが、近くの映画館では、午前中9時台の上映が1回きり。というスケジュール。午前中は用事が立て込むことが多かったので、映画は先送りにして、立ち寄った本屋にたまたまあったこの本を手に取りました。
一部ネタバレありです。
作者が大学時代からお茶をはじめたいきさつから、お茶にまつわるエピソードが綴られているエッセイです。
母親に勧められて始めたというだけの若い女の子が、お茶のお稽古を重ねていくうちに、様々な気づきをえて、「茶道」の奥深さを学んでいく、というとてもすばらしいお話でした。
お茶会のすったもんだで、ぷんすかしていた私でさえ、お茶の席の世界に引き込まれていく、不思議な力を持った本でした。
この本がきっかけででお茶を始める人も多いのではないだろうか、と思われます。
映画化はそれを加速化させるにちがいありません。
あれこれ考えずに形からはいる、というのは大事なことなのかもしれないな、と思いました。今はすぐに情報がはいり答えを手にすることができる時代、、、、けれど、そんなに急ぐ必要はないのかも。いちばんその人に合ったタイミングで、答えがぽんと授けられるように、ほんとはできているのではないだろうか。その自然なリズム流れにかかせていくのもいいのではないか、、、、そんなことを考えさせられました。
読み進めていくと、ちょうど92ページあたりから、私が体験したのとほぼ同じようなことが繰り広げられており、笑ってしまいました。
主人公がお茶の先生に連れられて参加したお茶会で「席争いが」おこるのです。
そしてまったく「お約束」のように、最後には「正客」がきまり、席に着くのでした。
この本では、「正客」と同時に「次客」も席に収まり、一件落着となるのです。
私の時は、和服の年配のご婦人だけ、「正客」を引き受けてくださって、「次客」がいなかったため、私が座ることになってしまったのです。
あらためて、私が座った「次客」の席も、お茶の作法がわかる方が座る席だったのだな、と、、、、どうしてそんな席に座ってしまったのかと、悔やまれます。
ところで、作者の森下典子さんは、名前に記憶があります。
たしか典奴(のりやっこ)と呼ばれていた人ではなったでしょうか。
のりやっこが行く、というドラマがああったような気がします。
(追記:典奴どすえ、が正しいです)
雑誌社で働く記者の話で、女優の賀来千香子さんがでていたはず。
とても面白いドラマでした。森下さんの駆け出し記者時代の体験をドラマ化した物だったと思います。
賀来千香子さんは、美人でお金持ちで意地悪なお嬢様みたいな役の印象が強い方でしたが、このドラマで一気に親しみやすいイメージに変わりました。
上司役の俳優さんは、名前が思出せないのですが、いまならセクハラでもんだいになりそうですが、ちょっとエッチな軽い感じの上司でコミカルな掛け合いで賀来さんといいコンビでした。
この上司役の俳優さんの名前が思い出せずしばらく悶々としました。
ネットで調べてもこのドラマのキャストは賀来さん以外はのっていなかったのです。
で、たしかこの人の息子さんは常盤貴子さんのだんなさんだったな、ということを思い出して、長塚圭史さんがでてきて、父親の長塚京三さんにたどり着きました。あ~すっきりした。賀来千香子さんの上司役は長塚京三さんでした!