ぼくのお姉さん
丘修三 著
かみやしん 絵
偕成社
この本には「ぼくのお姉さん」含む6編の短編が収められています。
いずれも、障害をもった人、その家族、かかわった人の視点でかかれた、短編です。私は最初読んだ時は、「ぼくのお姉さん」などはほんとうに弟さんが書いた作文だと思って、立ち読みでしたが、ひきこまれてしまいました。立ち読みしたまま涙があふれてきて、そのまま本を購入して帰りました。
表題の「ぼくのお姉さん」は、ダウン症の姉をもつ弟の視点で語られます。
ふつうとちがうお姉さんを、ふだんは受け入れている「僕」ですが、友達や世間の目を気にした時、それはちょっと違ってきます。
恥ずかしいという思い、からかわれて悔しいという思いも出てくるようです。
切ないのは、遊びに来た友達が、最初は戸惑いながらも、姉を交えてトランプで遊び、共に楽しい時間を過ごすのですが、翌日は学校で姉のことが話題になり、姉のことを馬鹿にされて泣きたい気持ちになるという場面。
もうひとつは、「僕」が姉のお年玉の1000円札を100円玉数枚と両替したことで、母親が激怒して泣いてしまう場面です。
「お姉ちゃんはわからないから、そういったのよ。それをいいことにして。お母さん、許せないわ!お姉ちゃんをばかにしているのと、おなじことなのよっ。」
これは息子に対してだけ言ったことなのか、世の中全てに対してのお母さんの叫びなのか、、、、、。
お姉さんの「ひろ」はおおらかな性格で、人なつっこい女の子です。
そんなお姉さんが、ある朝、なにやら家族に「早く帰ってくるように」と念を押すのです。パパは指切りげんまんをさせられるのですが、、、、、。
そのほか、「歯型」「あざ」「首かざり」「こおろぎ」「ワシントンポストマーチ」どれも、素晴らしい作品です。