かぶともり
菊池日出夫
福音館書店
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息子の「のらっこの絵本」シリーズ一押しは「さんねんごい」でしたが、「かぶともり」も「わくわく」する絵本でした。
夏になると「かぶともり」のリクエストは定番でしたね~。
何度も何度も読みました。
ひでちゃんたちは夏のある日、山にかぶととりにいくことにしました。
もちろんラッキーもいっしょです。
リーダー格のひろしちゃんといっっしょに、途中ひろこと妹のたみえも
「いっしょにいかっちゃ」
と誘いトンネル(自然にできたような洞穴が開通したような)をくぐって「かぶともり」へ向かいます。
先にかぶともりでかぶと取りをしていたかんちゃん達グループとひともめありながらも、ひでちゃんたちは、、、、、、。
ストーリーも素晴らしいのですが、この絵本の「絵」がすごいのです。
森の薄暗さ、そこに差し込む光、暮れていく山の風景、時間の経過を光で表現している、同じ時を過ごしているような錯覚をおぼえるのです。
読み終わるころにはいっしょに森からかえってきたような気持ちになる、そんな素敵な絵本です。
菊池日出夫さんの絵本の素晴らしいのは、一見まんがふうなコミカルなタッチに見えるのですが、とても精密で、色も多彩で、美しいのです。
これは、ご自身が、少年時代に実際に過ごされた故郷での体験からきていると思いますが、大人までもが、引き込まれるひでちゃんたちの森。
あのころ、「かぶともり」をこどもによみきかせながら、わたしもひでちゃんにかぶととりに連れて行ってもらっていたのだと思います。
ひろこちゃんやたみえちゃんのように。
菊池日出夫さんののらっこの絵本シリーズを何冊か読むと、だいたいこの村の様子がわかってきます。
鳥の目でみたかのうような、上空からの村の風景は、どの巻も素晴らしいです。
一軒一軒の家に、人々の暮らしが息づいています。
季節によって(巻によって)木々は形や色を変え、違った景色を見せてくれます。
山のふもとには、ひろことたみえの家があり、山の少し上の方には、トンネルがある。
牛小屋があるのは、きよしちゃんの家だろうか。
ひでちゃんの家は梯子が2階にかかっているから、ここに違いない。
「ラッキー」でひでちゃんたちが事件をおこしたのはどこだろう?
と、絵の中から登場人物の家を推測したり、この場面ではここを通ってここへ出たわけだな、などど確認するのも楽しいのです。
特にこの「かぶともり」1ページ目(中表紙)は虫眼鏡で何度も見てしまいます。
子どもに読み聞かせていた「大人」がはまってしまう絵本です。
かぶともり 菊池日出夫 / 福音館書店