シンデレラ 小さなガラスの靴
原作 ペロー/ 訳 天沢退二郎
絵 東逸子 ミキハウスの絵本
(表紙画像使用についてはミキハウスさまより許可いただいております)
表紙と挿絵がとても美しい絵本です。
絵は東逸子さん。
どのページをみてもうっとりする美しさです。
ペローの原作は読んではいないのですが、おそらく忠実に訳したのであろうと思われます。
古風な言い回しが、異国の物語の世界を、演出しています。
小さなこどもによみきかせる時は、多少すっとばしてもよいでしょう。
この本は娘が「絵がきれいだから捨てないで」と言ったので残してあります。
今は販売されていないので、中古でしか手に入らないようなので貴重な本だと思います。
不遇だけれど美しく優しい娘が王子様に見初められ結婚する、という定番のお話。
継子いじめの設定も定番ですね。
神話が世界各地に同じようなものが残っているのと似ていて、薄幸な少女が玉の輿に乗る、的な話は多いですね。
これは女の子に希望を与える話なのでしょうか?
少なくとも、女子の意識に大きな影響を与える本だと思います。
何を幸せと思うかはそれぞれです。
素敵なパートナーに巡り合えればそれのこしたことはないでしょうけど。
シンデレラに限らず、こんな恋愛話がこどもむけにたくさんあるのはどういうことなのかなあ。今に始まったことではなく、昔々からなわけで。
「かぐや姫」もそうだしね。ハッピーエンドではないけれど。
かぐや姫「竹取物語」は平安時代初期でしょう?
人はみな恋の話が好きだというだけのことなのでしょうか?子どもも含めて。
息子に「シンデレラ」を読んであげたことはあったかなあ?ないような気がします。無意識にこれは「女の子」の本と思っていたのかもしれません。
ストーリーはきっと知っているはず、ですが、わざわざ読まないだろうなあ、、、、。
アニメ映画でみるとか、で知るのかなー。
シンデレラといえば、私が若いころ好きだった「青い鳥」という劇団で「シンデレラ」というお芝居がありました。
「劇団青い鳥」はテレビや映画でよくみる女優の木野花さんが主催されていた、女性だけの小劇団でした。
下北沢の小劇場「ザ・スズナリ」にはじめて「青い鳥」を見に行ったときの衝撃は忘れられません。
その時は「夏の思い出」という演目でした。
友達に誘われはじめて小劇場に出かけた私は、立派とは言えない劇場に長い列ができているのに驚きました。
やっと中に入れて座れたと思ったら(床に体育すわりです)、会場スタッフの人が、
「みなさん、せーの」
で、目の人の背中に自分の胸をくっつけるようにつめてください」と言うのです。
「せーの」の掛け声で前の人との距離を詰めました。
「うわー、東京ってこんなふうにしてお芝居をみるの?」(←東京にでてきたばっかり)
もうこれで満杯だろう、そろそろはじまるだろうと思っていると、
「みなさーん、せーの」
の声がかかり、どんどん人が入ってきます。
私は最初は客席の後ろに座っていたはずでしたが、気が付くと客席の真ん中位に座ってていましたから、どれだけの人がその空間にいたのでしょう。
「てぶくろ」(ウクライナ民話 絵/エウゲーニー・M・ラチョフ 訳内田莉莎子)
という絵本に、落ちていた手袋の中にどんどん動物たちがはいってきて、もうこれ以上無理だろうと思っても増えていくお話がありますが、まさにそんな感じです。
2階が劇場になっていましたが、よく床が抜け落ちなかったものだと思います。
「てぶくろ」(ウクライナ民話 絵/エウゲーニー・M・ラチョフ 訳内田莉莎子)
https://www.fukuinkan.co.jp/copyright.html
「てぶくろ」状態でみた舞台は衝撃的で、田舎者の私にとってはカルチャーショック。
こんな表現があるんだ!!!ストーリーや演技だけでなく、音楽、光、そして場の醸し出す一体感に感動しました。
それから「青い鳥」の舞台を見に行くようになりました。
この時、誘ってくれた友人の友人が木野花さんの知り合いで、上演後、会場で木野花さんと話しているのをみて、「うわー舞台で演じていた人と話をしているっ。すごいっ。芸能人と話しているっ」とこれまた田舎者丸出しの感覚でみておりました。
30年以上たち、娘の大学の入学式で、その友人の友人が娘の大学の教授になっていることがわかりびっくりしました。
「劇団青い鳥」も木野花さんもどんどん有名になり、劇場も「タイニイアリス」(たしか)とか「パルコ劇場」などどで上演するようになりました。
「シンデレラ」をみたのは「パルコ劇場」だったと思います。
「青い鳥」は絶対期待を裏切らない。
おもしろい舞台でした。ゲラゲラ笑って、しんみり考えさせられて。
ちょうどその日は、NHKのカメラもはいっていました。
食事の場面で予定外のことがおこったようで、それはそれで面白かったのですが、後日テレビで放映されたのを見ると、その場面は差し替えられていたので、別日にまた撮り直したのでしょう。
30年以上前なので細かいことはわすれてしまいましたが
「王子様を待っているだけではダメだなんだ」
と思ったのを覚えています。
ずいぶん話がそれてしまいましたが、「シンデレラ」は大人になっても気になるテーマです。